「人間にとってスキンシップはとても大切なもの。それは赤ちゃんからお年寄りまで同じで、感情に深い影響を与えます。私たちは商品を通して“触感”と“人と人とのふれ合い”の二つの心地良さを表現していきたいんです」
ガーゼブランド『OVLOV(オブラブ)』を展開する、株式会社クロスローズプランの代表取締役・西澤真由美さん(55歳)は語ります。
デリケートなお肌には、やわらかい肌触りの綿素材が良いといわれていて、ガーゼは代表的なものの一つです。通気性・吸湿性に優れ、大人以上に汗をかきやすい赤ちゃんにもぴったり。“やさしく包まれる触感”を育む特別な存在といえるでしょう。
オブラブの商品は、天然素材100パーセントのガーゼを3枚以上重ねた「多重織りガーゼ」を使用しています。通気性の良さは多重織りになってもそれほど変わらず、綿毛布やタオルケットとくらべても抜群。熱帯夜の寝苦しさも軽減してくれます。
さらに6重ガーゼケットは保温性にも優れ、夏だけでなくオールシーズン活躍してくれるというのです。
空気の層がふわっと身体を包みこむ
通気性と保温性をバランスよく兼ね備えた6重ガーゼケット。その秘密は糸や織り方にあります。
布の断面を見ると、細い糸の層、中細糸の層、太い糸の層といった具合に、各層によって糸の太さや密度を変えていることがわかります。この層の間に生まれる空気が人の体温によってあたためられ、身体をふんわり包み込むのです。
しかもオブラブのガーゼケットは、洗濯するごとにふわふわになります。
一般的に綿生地の縮率は約3パーセントのところ、多重織りガーゼのそれは約8パーセントにもなるとか。あえて甘い織り方をすることで、縮れた糸の間にも空気が含まれ、軽さはそのままにボリュームが増すんだそうです。
ご家庭の洗濯機で洗えるので、躊躇なく普段使いできるのが嬉しいポイント。ただし、タンブラー乾燥機にかけてしまうと縮みすぎてしまい、生地が傷んでしまうので自然に乾燥させるのがベストです。
ファミリーを意識したシンプルデザイン
6重ガーゼケットのサイズは3種類。赤ちゃん用のSサイズ(70×100センチ・3800円税抜)のほか、大人の肌掛けなど汎用性の高いMサイズ(100×140センチ・5500円税抜)、シングルベッドサイズのLサイズ(140×190センチ・9800円税抜)があり、色柄は17種類をラインナップしています。
「赤ちゃんにいいものは大人にもいいもの。ファミリーで使っていただきたいので、あまり子どもっぽすぎるのは作らないようにしています。シンプルで、生活になじむようなデザインがいいかなと思います」
ちなみに西澤さんは、肌寒い時期にはM サイズをベッドに敷き、L サイズを掛け布団にしてダブル使いしているそう。
アイテムはガーゼケット以外にも広がっています。ワンサイズで赤ちゃんから6歳頃まで着られる寝冷え対策アイテム『スリーパー』(4500円税抜)、ひざ掛けにもなる『4WAY授乳ケープ』(4500 円税抜)、食事中の跳びはねから洋服や着物を守るシニア向け『スタイエプロン』(5200 円税抜)などがあります。
ベビー用品をきっかけに多重織りガーゼの魅力を知ってもらい、家族をつなぐライフスタイルを提案していきたいと西澤さんは語ります。
自発的に流れを作れるものづくり
1997年に創業した同社は、他社製品を受注生産するOEM業務をメインに行っていました。自社ブランドをスタートしたのは2002年で、当初はパジャマやカーテン、クッションと、現在よりもたくさんのアイテム数を扱っていました。
「年を追うごとにOEMの仕事が増え、次から次へとこなしていくうちに、決められた枠に収めるだけを考えるようになって。その結果、作る商品に魅力を感じなくなり、自社ブランドもOEMもどっちつかずになってしまいました」
このままではいけない。20周年を機に西澤さんはOEM事業を思い切って縮小し、自社ブランドのアイテム数も五分の一ほどに減らしました。ガーゼという素材を深く掘り下げることにしたのです。
自社ブランドに集中するようになり、多重織りガーゼの可能性を探るなか、2017年にオーガニック・ボタニカル・エコロジカルの視点で、新シリーズをスタートさせました。
同シリーズでは無農薬のオーガニックコットンや、ユーカリを原料とした再生繊維をブルーベリーやブドウ、クチナシ、バラから抽出した染料で染め上げています。天然由来らしいナチュラルな色味に大人っぽさを感じます。
さらに、糸や生地を染めるのではなく、つむいで糸にする前の原綿を染める「綿(わた)染め」にすることで、水の使用量を大幅に削減することができるといいます。
西澤さんは以前から環境に配慮した商品づくりをやりたかったそうですが、それができる状況になったのは最近のこと。
「正直OEMだと、環境への配慮より経済性が優先されがちなんですよね。でも自社ブランドであれば、自発的にそういう流れが作れますよね」
ブランドを体現したギフトボックス
西澤さんのアイディアは、オリジナルのギフトボックスにも注がれています。
「いらない包装はしないとか、包装資材はなるべく生分解性のあるものにしようとか、そんなことがちょっとずつでもできればいいなと思っています」
そこで開発したのが“風呂敷感覚で使えるギフトボックス”。1枚のコートボール紙からなり、風呂敷で包むように四隅を折りたたむだけでラッピングが完成します。
封筒型にしたり、箱型にしたりと、マチの広さは3段階に変更可能。長方形と正方形バージョンの2種類で、全商品のラッピングを網羅しています。
このギフトボックスにはちょっとしたサプライズが。包みを開くと、かわいらしいイラストが商品を囲むように描かれています。 「一年を通してガーゼに触れてもらいたい」という想いから、春夏秋冬の草花をデザインしたそう。
オブラブの商品は、同社のオンラインショップで購入できるほか、毎月10日の「オブラブの日」には東京・浅草橋にあるショールームがお店になります。
寝ているとき、食事のとき、くつろいでいるとき――。ガーゼから遠ざかっていた大人にこそ、やさしい肌触りを体感してほしい。どこかなつかしく、心地よい気分に導いてくれるはずです。
OVLOV(オブラブ)
東京都台東区浅草橋4-6-8 map
03-3863-1411
http://www.ovlov.jp/